GPT-5の機能について
1) 自動で“速さ↔深い推論”を切替
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GPT-5は 通常モード(Chat/Fast) と Thinking(深い推論) をタスクに応じて自動選択。難しい課題では自動でThinkingに切り替わります(「じっくり考えて」などの指示で明示も可)。
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これは内部の“ルーター”が、質問の難易度や会話の意図から最適な頭の使い方を判断する仕組みです。
2) コンテキスト(長文取り回し)が拡張
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ChatGPTで使える文脈長(概略):Free 16K/Plus・Team 32K/Pro・Enterprise 128K、Thinkingは 最大196K(有料)。
3) コーディング & エージェントタスクに強い
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大規模なコード修正・新規アプリ実装、長いツール呼び出しチェーンの実行など、開発系と“手を動かす”系の仕事に最適化。
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長文・長期タスクでも精度が落ちにくいよう、長コンテキスト性能が強化されています。
4) マルチモーダル & ツール対応
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文章だけでなく、画像やファイルの理解にも対応(視覚理解を強化)。
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ChatGPT上では Web検索/データ分析/画像・ファイル解析/Canvas/画像生成/メモリ など、現行の全ツールがそのまま使えます。
5) 出力コントロール(開発者向け)
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APIでは verbosity(出力の簡潔さ) と reasoning_effort(推論のかけ方。minimal指定で高速応答)を新搭載。
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カスタムツール(プレーンテキストでの関数呼び出し)に対応し、ツール連携の柔軟性が向上。
6) モデルのラインアップ
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APIには GPT-5 / GPT-5 mini / GPT-5 nano など用途別の派生があり、コストや速度と精度のトレードオフを選べます。
7) 安全性の新アプローチ
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GPT-5では「セーフ・コンプリーション」という新しい安全学習を導入。安全性を保ちつつ、可能な範囲でより具体的な回答を返す志向に調整されています。
リアルタイムルーターの概要
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役割:各ターンごとに「速い通常モデル(gpt-5-main系)」と「深い推論モデル(gpt-5-thinking系)」のどちらを使うかを即時判断して選択します。目的は**必要なときだけ“考える”**ことで、品質と待ち時間・コストの最適化。
- 1) 自動で“速さ↔深い推論”を切替
- 2) コンテキスト(長文取り回し)が拡張
- 3) コーディング & エージェントタスクに強い
- 4) マルチモーダル & ツール対応
- 5) 出力コントロール(開発者向け)
- 6) モデルのラインアップ
- 7) 安全性の新アプローチ
- ルーターが見る主なシグナル
- 候補モデルとフォールバック
- どのタイミングで動くか
- 開発者向け・制御方法
- 安全性との関係
- 簡易フロー(擬似仕様)
- 0) 前提設計(ブリーフ → 合意)
- 1) 調査・仮説形成(MECE・イシュー駆動)
- 2) 分析設計(式→変数→データ→感度)
- 3) 提案書骨子(So-What一貫構成)
- 4) 実装計画(WBS/ガバナンス/KPI)
- 5) 営業・見積・ディール支援
- 6) 組織・チェンジマネジメント
- 7) ワークショップ/インタビュー設計
- 8) 品質保証(ハルシネーション対策)
- 9) セキュリティ/法務の実務メモ
- 10) 使い回しテンプレ(保存版)
- 11) 運用ルール(ミスを減らす5箇条)
- 12) ミニ運用フロー(毎案件これだけ)
ルーターが見る主なシグナル
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会話タイプ(雑談/要約/計画/コーディング等)
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複雑度(推論が要るか、曖昧さの大きさ)
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ツール利用の必要性(検索・コード実行・ファイル解析の見込み)
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明示的な意図(「じっくり考えて」「think hard」などの指示やUIでのモード指定)
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実運用シグナル(ユーザーが途中でモデルを切替えた事例、好み投票、正答性メトリクス等)で継続学習。
候補モデルとフォールバック
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高速系:gpt-5-main/gpt-5-main-mini
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推論系:gpt-5-thinking/gpt-5-thinking-mini/gpt-5-thinking-nano
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利用上限に達した場合は mini 系へ自動フォールバック。
どのタイミングで動くか
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ChatGPTの「Auto」相当では、各リクエスト受信時にルーターが判断し、必要に応じてThinking側へ回します。ユーザーはUIからFast/Thinkingを手動で選ぶことも可能です(Autoをバイパス)。
開発者向け・制御方法
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APIでは reasoning_effort を指定して思考時間を制御(minimal/low/medium/high。GPT-5ではminimalも追加)。Thinkingモデルを直接指定すればルーターをバイパス可能。
安全性との関係
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GPT-5全体はsafe-completions等の安全訓練を備えつつ、ルーター自体は正答性・ユーザー選好・切替操作などの信号で継続学習して精度向上を図る設計。
簡易フロー(擬似仕様)
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入力解析:会話履歴+現在のプロンプトを分類(用途/複雑度/ツール要否/明示的フラグ)。
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ルーティング判定:スコアに基づき gpt-5-main vs gpt-5-thinking を選択。
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リソース確認:利用上限に応じて mini/nano を選ぶ場合あり。
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実行:選ばれたモデルで回答生成(必要ならツール呼び出し)。
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オンライン学習:切替操作・好み投票・正答性の計測結果をルーター学習に反映
GPT-5 |実際の活用方法
まず押さえるコツ(超重要)
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役割を明示:「あなたは○○の専門家」。
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出力形式を固定:表・箇条書き・JSON・スライド骨子など。
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制約を書く:対象・語調・文字数・禁止事項・納期想定。
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採点基準を付ける:合否条件/評価軸をプロンプト末尾に。
例) コンサルのためのGPT-5実務ガイド
0) 前提設計(ブリーフ → 合意)
ねらい:曖昧な依頼を“合意済み要件”に変換する。
使い方:下の逆ブリーフを最初に流し込み、欠落を仮置き→最後に確認質問を付けさせる。
あなたは“案件定義の専門家”。以下の依頼を、目的/範囲(含む・含まない)/成果物/指標/前提/制約/リスクで要件化。不足は推定で仮置き→最後に確認質問5つ。
依頼:{クライアントの要望を貼る}
ポイント:最初に「評価基準(何が出たらOKか)」を明文化させると、以降のアウトプット品質が安定します。
1) 調査・仮説形成(MECE・イシュー駆動)
ねらい:一次情報に紐づいた“仮説ドリブン”にする。
プロンプト:
役割:戦略コンサル。テーマ:{例:地域サイクルツーリズムの収益化}。
出力1:トップイシュー(1行)→MECEなサブイシュー(5–7個)→仮説(各1行)。
出力2:仮説検証のための“必要データ”と“入手経路(推奨一次ソース)”。
制約:重複・過度抽象を禁止。最後に「仮説の潰し方」3つ。
評価基準:①MECE ②実行可能 ③検証容易性。
応用:競合ランドスケープは“市場構造→プレイヤー→差別化要因→収益式”の順で出させると整理が崩れません。
2) 分析設計(式→変数→データ→感度)
ねらい:数字で語れる骨組みを即作る。
プロンプト :
役割:ファイナンス/オペレーションアナリスト。
目的:KGI={利益 or NPV}の数式展開→主要変数→感度分析設計(±10%/±30%)。
出力:①基準シナリオ表 ②楽観/悲観シナリオ ③感度が高い順の変数Top5+施策。
制約:計算過程を桁区切りで明示。推定値は根拠注記を必ず添える。
ひと工夫:最後に「反証可能性の高い前提TOP3」を必ず挙げさせ、検証計画(誰が・何を・いつまでに)を付ける。
3) 提案書骨子(So-What一貫構成)
ねらい:スライド化が速い“章立て→見出し→要旨→図”の連鎖を自動化。
プロンプト:
役割:エグゼクティブ向け提案書設計者。
対象:{クライアント/部門/意思決定者像}。
出力:10–12枚の章立て。各スライドに①見出し(25字以内の結論)②要旨(80字)③図の型(例:4象限/ファネル/ロードマップ)④必要データ。
制約:重要度の高い順に並べ替え。“Nice to have”は付録に回す。
評価基準:①結論先行 ②可視化容易 ③意思決定に直結。
テンプレ:
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1枚目:エグゼ要約(背景→インサイト→提案→効果→次アクション)
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中盤:現状診断→課題の真因→選択肢→推奨案→実装計画→リスク/代替案
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終盤:KPI・ガバナンス・ロードマップ・投資/回収
4) 実装計画(WBS/ガバナンス/KPI)
ねらい:提案を“動く計画”に落とす。
プロンプト:
役割:PMO。目的:{施策名}の90日実装計画。
出力:WBS(週次)/役割RACI/KPIツリー/リスク-対応表/意思決定ゲート(G0~G3)。
制約:外注前提/社内制約など運用上の制約を明示。依存関係を矢印で言語化。
評価:①実行可能性 ②リスク網羅 ③測定可能性。
チェック:RAID(Risk/Assumption/Issue/Dependency)を表で必ず付ける。
5) 営業・見積・ディール支援
ねらい:打ち手→反論処理→価格根拠まで最短で揃える。
プロンプト:
役割:B2Bソリューション営業。クライアント:{業界/規模/役職}。
出力:課題仮説→価値提案(数値効果つき)→反論と切り返し10本→見積根拠(工数/相場/ベンチマーク)。
制約:専門用語は中学生にも通じる1行注釈。最後に“次回会議アジェンダ”と“宿題”。
価格:見積は「成果物×品質担保×リスクバッファ×運用コスト」を分解して説明させると納得されやすい。
6) 組織・チェンジマネジメント
ねらい:施策を“現場が回せる”設計へ。
プロンプト:
役割:チェンジマネジメントの専門家。
出力:ステークホルダー地図(影響力×関心)→セグメント別メッセージ→反対/中立/推進の転換施策→成功の早期サイン→現場の反発シナリオと対応。
制約:社内政治/暗黙ルール/評価制度の歪みも前提に入れる。
KPI例:採用なら「応募→1次通過→内定→定着90日」の転換率・リードタイムを見える化。
7) ワークショップ/インタビュー設計
ねらい:短時間で“本音と事実”を引き出す。
プロンプト:
役割:ファシリテーター。
目的:{課題}の根因と打ち手探索。
出力:90分ワークショップ設計(導入→発散→収束)/質問ガイド(誘導NG/オープン/プロービング)/評価ルーブリック(意思決定基準)。
制約:政治的にセンシティブな論点は別セッション化。
8) 品質保証(ハルシネーション対策)
三層チェック
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出典:可能なら一次ソースを要求(規約・法令・決算・公的統計)。
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反証:「この主張を崩す論点を3つ」→検証方法を添えさせる。
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数値:計算過程をステップ表示させ、桁ズレを自動検査(“最後に再計算して差分報告”を指示)。
テンプレ:
最後に品質監査。根拠の種類(一次/二次)を明記。弱い根拠は黄色、未検証は赤でラベル。
反証可能性の高い点TOP3と、事実確認のToDo(担当/期限/ソース)を出力。
9) セキュリティ/法務の実務メモ
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機密は具体値を伏せて変数化(“{単価X}”のように)→共有前に差し替え。
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本人性・PIIは入れない/仮名化。
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合意形成の痕跡:要件・決定・前提変更は議事録テンプレで残す。
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許認可系は“条文→要件→実務手順→提出書類→リードタイム”の順に必ず分解。
10) 使い回しテンプレ(保存版)
A) Issue Tree自動生成
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あなたはロジック設計の専門家。テーマ:{ }。
出力:トップイシュー1つ→MECEな分解(3~4段)→各ノードの検証指標。
制約:重複禁止/粒度を揃える/末端は測定可能に。
評価:構造一貫性・検証容易性・網羅性。
B) 競合比較 → “勝ち筋3行”
役割:競合戦略アナリスト。市場={ }。
出力:評価軸(定義付き)→比較表→自社の有利/不利→勝ち筋3行。
制約:主観形容詞は禁止、各軸は観測可能な指標に落とす。
C) ROIモデル雛形
目的:投資案件のROI初期モデル。前提:単価/数量/原価/固定費/導入費/期間。
出力:損益分岐点/回収期間/感度TOP5/前提を変える打ち手。
制約:式と計算過程を明示、推定値には信頼区分(A/B/C)。
D) スライド骨子 → 図の型提案
役割:エグゼ向けスライド編集者。
出力:ページごとに結論見出し→要旨→最適図解(型と中身)→必要データ。
制約:1ページ1メッセージ。装飾は削ぎ落とし。
11) 運用ルール(ミスを減らす5箇条)
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役割・形式・制約・評価基準は毎回書く(省略しない)。
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**“推定で進める→最後に検証ToDo”**が基本姿勢。
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長文は章ごとに出させる(レビュー単位が小さいほど修正コストが小さい)。
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比較は軸→定義→スコア→示唆の順で固定。
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赤チーム指示(反論や代替案の提示)を必ず一度は入れる。
12) ミニ運用フロー(毎案件これだけ)
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逆ブリーフで要件化 → 2) Issue Tree+仮説 → 3) ROI雛形 →
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検証計画(データ・インタビュー) → 5) 提案骨子 → 6) 実装計画(WBS/RACI/KPI) →
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品質監査&赤チーム → 8) エグゼ要約1枚。
最後に。GPT-5は**「思考の外部化と速度」が武器です。“構造→数式→検証→提案→実装”の一連を“同じフォーマットで毎回回す”ことで、再現性のある品質が出ます。上のテンプレを自分用に少しカスタムし、案件開始時にプロジェクト用プリセットとして保存しておくと、初速と仕上がりが一段跳ねます。
GPT-5 の昨日の話から入り、コンサル向けの方への話でした。